「M氏の像2006〜<個>の存在そのものの美しさ〜」
テーマ「生命感・エネルギーを<感じる>ツールとしてのアート」


子供のころから、小動物を飼い続けていた。金魚、文鳥、インコ、モルモット、ネコ・・・。
小動物の命は簡単に消えてしまう。縁日で買ってきた金魚の半数はすぐに死ぬ。目の前でネコに食われたインコやモルモット。交通事故に遭って死んでしまったネコ。
そんな数々の命が消えるのを経験したとき、いつもとても悲しく、そして不思議だった。風邪をひいて体調が悪く、気づかずにかわいがっていた手乗り文鳥を踏み潰してしまったときの気持ちは、今思い起こしても涙が出てくる。身体はここにそのままあるのに、なぜ、この子の命はもうないのだろう。なぜこんなに簡単に、命がなくなって、そして二度と戻らないのだろう。命って、魂って、心ってなんだろう。
殺人の報道を聞くと、なぜ、あんなにはかないものをそんなに粗末にできるのかいつも疑問に思った。憎しみやいろんな心の状態があるのはよくわかる。でも、そんな状態の心はまわりを、そして自分を傷つける。人の力をそんなふうに使わせないエネルギー、それはなんだろう。
具体的な形でそれを取り上げたいと考えていたときに、私は知人であったM氏(宮本惇氏)を思い浮かべた。
シベリア抑留を「旅行へいってきたようなもの」とさらりと述べる人だった。これは半端な心の使い方ではない。この人の話を聞こう。そして、表現しよう。きっとそこには、心の使い方のヒントが隠されているはずだ。2003年秋、M氏にモデルを依頼した。
何度も話を聞いた。M氏の自叙伝を読み返し、シベリア抑留をまとめた「捕虜体験記」を読んだ。
2005年は、M氏のイメージに迫ろうと人生を表す「手」を中心に描き続けた。
個人から他の人に通じる普遍的なものを取り出したい。手がかりを『老子』や『風姿花伝』など古典に求めた。現代との共通点も探ってきた。
人のもつ「<個>の存在そのものの美しさ」。様々に探ってきた今、これは潜在的に誰でも持っている輝きだと感じている。これが今回の個展のテーマである。
人のもつ生命感、エネルギーを「感じるアート」を追求し、「鑑賞」とともに、「対話、感じるツールとしてのアート」を目指している。
今回の個展では等身大の大きさのM氏を描き出すことで<個>を具体的に表すとともに、「美しさ」を生み出す可能性として「手」を中心に作品を発表する。
また、公式ブログ、楽天日記を使い、画廊以外の表現共有の場として発表している。
作品、習作画像を公開しながら、M氏の背景や取り上げた動機、自らのアートへの考え、「感じる」という切り口からの発見など書き込んでいる。
画廊でない場で、人と作品・思想共有できる場であり、すでに個展の一部が始まっている。

<技法・作品展示>
個展会場作品  :主に平面。顔料、膠、墨、アクリルガッシュ、その他ミクストメディア。
ブログアドレス :(公式ブログ)http://blog.art-m.org/index.php
:(楽天日記) http://plaza.rakuten.co.jp/momma/


<会場案内図>

展覧会名 :門間由佳展「M氏の像〜想い」
会期   :2006年11月13日(月)〜11月25日(土)
     (日曜日休廊)
会場   :マキイマサルファインアーツ
住所   :台東区浅草橋1−7−7
TEL・FAX:03−3865−2211
時間   :AM11:00~PM7:00

(土曜日PM5:00まで)

 

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